【分析】リバプールvsウェストハム 今季初黒星のゲームを考察

 日本時間11月8日、プレミアリーグ第11節、ウェストハムvsリバプールのゲームが行われました。会場はウェストハムのホーム、ロンドンスタジアム。結果は3-2でホームのハマーズ勝利となりました。リバプールは今季リーグ戦では初黒星。カップ戦を含めた公式戦でも今季の初黒星となっています。今回の記事ではそんな試合を振り返ってみます。

両チームのスターティングイレブン

低く構えて堅いウェストハムの守備ブロック

  この試合、スコアは開始早々に動くこととなります。前半4分、ハマーズがコーナーキックの流れから先制します。記録はアリソンのオウンゴール。1点を先行した後のハマーズは、自陣に低く構えてしっかり守るという戦い方を採用します。先制したことに関係なく、当初のウェストハムのゲームプランだったのかもしれません。

 アントニオを1枚前線に残し、4-5-1で組むブロックは非常に堅固でした。ウェストハムの守備ブロックの特徴は、4バックがコンパクトな距離を保ち続けていることでしょうか。ベン・ションソンとクレスウェルの両サイドバックがセンターバックに近い立ち位置をとります。そのため、ウェストハム最終ラインの中央は完全に閉ざされており、リバプールとしては攻略に苦戦しました。

 また、中盤の守備ラインも非常にソリッドに構築されていました。ライス&ソウチェクの2枚は中盤のフィルターとして非常に効いており、高いインテンシティでリバプールの選手に自由を与えません。ウェストハムの守備ブロックが全体的に低いライン設定を行っていたこともあり、2列目の選手もかなり低い位置まで戻る必要がありましたが、全選手が献身的なプレーを見せていました。

 リバプールとしては、ペナルティーエリアに多くの選手が密集するウェストハムの守備ブロックを崩す糸口を見つけ出せず。このような、自陣のペナルティーエリアに選手を多く配置する守り方はさすがモイーズ監督。ただ人を配置するだけでなく、統率された守備ブロックは非常に強固でした。

縦パスは入るも、ブロックを崩せないリバプール

 リバプールとしては、ボールを保持しながらウェストハムのブロックを崩す機会を伺います。マティプやファン・ダイクから鋭い縦パスが入るシーンが見受けられるものの、ハマーズ守備陣を崩すにはいたりません。ウェストハムが人数をかけて守っていたこともあり、シュートチャンスも少ない状況でした。

 ウェストハムの守備の特徴として、最終ラインの横幅が非常にコンパクトという点は上述しました。そのため、リバプールとしてはサイドにややスペースがある状態です。左のロバートソンやマネ、右だとヘンダーソンがサイドでボールを受けるて仕掛ける機会はありました。しかし、中央の壁が分厚く、ゴールには届きません。やや気になったのは、左で仕掛けるロバートソンの調子でしょうか。ボールを持った際に相手の脅威になりきれておらず、状態が良くなかったでしょうか。

 対する右のアレクサンダー・アーノルドは、この試合でも攻撃面でさすがのパフォーマンスを示します。ビルドアップの起点になりつつ、攻撃時には中央に侵入していきます。この試合ではアンカーの様に振る舞うシーンも見られ、新たな役割を模索しているように感じます。前半の終了間際に決めたゴールは非常に美しく、今季の好調ぶりを示しているのではないでしょうか。

パターン化する今季の失点シーン

 リバプールとしては、この試合が今季の初黒星となりました。しかし、これまでも苦しむ試合は多くありました。2点、3点と失点を積み重ねながらも、高い攻撃力を発揮してドローに持ち込んだ試合です。今季、リバプールが苦しめられている相手として、堅く守って能力の高い2人以上の選手でカウンターを狙うチームがあります。ブレントフォード、アトレティコ・マドリー、そして今回のウェストハムといったチームは、どれも高い守備力と破壊力のあるカウンターを得意とするアタッカーを揃えたチームでした。

 リバプールはボールを支配して相手を押し込む戦い方を目指します。アグレッシブなチームであり、サイドバックが非常に高い位置を取ります。それによる攻撃力と引き換えに、自陣に広大なスペースを残すという特徴があります。ボールロスト時には、激しいプレスで即時奪回を目指しますが、100%回収できるわけではありません。また、背後には能力の高いセンターバックが控えていますが、常に100%の対応は難しいでしょう。能力の高い相手アタッカーと、オープンスペースで数的同数に近い形で対峙するのは、いかにファン・ダイクやマティプといえども難しい対応を迫られます。

 今季のここまでの戦いを見る限りだと、失点数をいかに減らしていけるかが今後の課題ではないでしょうか。

4位後退のリバプール、次節は5位アーセナルと対戦

 今節、ウェストハムに敗れたリバプール。順位も逆転し4位に後退しています。リバプールを交わして3位に浮上したウェストハム、モイーズのチームは今季非常に高い調子を維持しています。

プレミアリーグの順位表(11節終了時点)

 リバプールとしてもまだ1敗を喫したのみ、下を向くには早すぎます。首位チェルシーとは勝点4差です。次節は代表ウィークを挟んだ2週間後、リバプールの対戦相手は5位のアーセナルです。前節のブライトン、今節のウェストハムに続き、好調な上位陣との対戦です。アーセナルは開幕3連敗以来、リーグ戦8試合負けなしです。これ以上は上位対決を落とせないリバプール、次節のアンフィールドでのアーセナル戦は何としても勝利したいところです。