リバプールFC 21-22シーズン 展望

 1年遅れのユーロやオリンピック、コパ・アメリカが開催された今夏も8月に入り、いよいよ欧州サッカーのシーズンが開幕する。この記事では、新たなシーズンの開幕を前にして、リバプールの今季の展望を考えてみたい。

 チームとしての目標はもちろんタイトルの獲得にあるだろう。18-19シーズンのチャンピオンズリーグ制覇、翌19-20シーズンにはプレミアリーグ制覇と、ここ数年は強さを発揮し、タイトルを獲得してきたチームに求められる期待値は高い。長年リバプールを追っているファンとしては喜ばしいことだ。今シーズンも、プレミアリーグやチャンピオンズリーグのタイトルを狙うことのできる競争力は維持しているのではないだろうか。

 しかし、補強があまり進んでいないことによる不安も感じられる。今夏の補強はイブラヒマ・コナテのみに留まっており、絶対的な主力として5年に渡って活躍したジニ・ワイナルドゥムがパリへと旅立った。戦力は整っているとは言え、全く不安がないわけでもない。ここからは、各ポジションごとに現在の戦力をプレシーズンの経過も踏まえて見て行こう。

手厚いGK&CBの布陣、アーノルドの怪我が懸念

 まずGK&DFである。GKはアリソンが契約延長にもサインしており、長くリバプールのゴールを守ることが想定される。安泰なポジションであろう。アリソンにアクシデントがあった際のバックアップとしては、アドリアン、ケレハーになるだろう。GK陣の人材は手厚いと見える。

 次に、DF陣である。昨シーズン、主力が怪我で全滅したCBにはファン・ダイク、マティプ、ジョー・ゴメスが怪我から復帰し、新加入のコナテを加えて回すことが予想される。加えて、現状では昨季の緊急事態を支えたナット・フィリップスとリース・ウィリアムズも控えており、非常に堅実な陣容と言える。フィリップスとウィリアムズには移籍の可能性もあり得るが、現状はCBの陣容も非常に厚い。

 そして、ここ数年はアレクサンダー・アーノルドとロバートソンが絶対的な存在として君臨しているSBにも変化はないだろう。ロバートソンのバックアップとして、ツィミカスがプレシーズンでは存在感を見せており、楽しみな選手である。一方で、右SBのバックアップにはやや不安があるだろうか。ネコ・ウィリアムズが務めることになるのか、ミルナーやゴメスが回る可能性もあるが、いずれにしてもアーノルドとは特徴が大きく異なる選手である。アーノルドにアクシデントが発生するという状況は最も危惧されるかもしれない。

活躍が期待されるツィミカス

頭数は豊富も怪我が気になるMF陣

 次にMF陣である。クロップの用いるフォーメーションは、アンカー+2枚のインサイドハーフが主であり、今年も変化はないだろう。アンカーのファーストチョイスはファビーニョで間違いない。昨シーズンも、ファビーニョがアンカーの位置でチームに安定感をもたらすことで、チームとしての復調のきっかけとなった。インサイドハーフについては、チアゴ、ヘンダーソン、ナビ・ケイタ、ミルナー、チェンバレン、に加えて昨季に出番を増やしたカーティス・ジョーンズと頭数は揃っている。ヘンダーソン、チアゴ、ミルナーはファビーニョにアクシデントがあった際のアンカーのバックアップも務められるだろう。

 しかし、MF陣に揃って言えるのは怪我の多さである。チアゴ、ヘンダーソン、ケイタ、チェンバレンは怪我が多く、今シーズンもフル稼働できる見込みはどれほどあるだろうか。ミルナーにも年齢的な厳しさがあり、若手のジョーンズやプレシーズンで印象的な活躍を見せるエリオットに期待を賭けすぎるのもややリスクはあるだろう。MF陣は、頭数と個々のクオリティは高いものの、怪我人という懸念を抱えている陣容だろうか。

プレシーズンに印象的な活躍を見せたエリオット

マネ、サラーの冬季離脱が気になるFW陣

最後にFW陣を見て行こう。ここ数年のリバプールを支え、強いリバプールを体現してきた、マネ、サラー、フィルミーノという前線の3人は今年も健在だろう。そこに、昨年加入して印象的な活躍を見せたジョタが加わる形で、陣容としては手厚い。さらには南野、オリギ、シャキリも控えているが、移籍の可能性も残っており、様子を見る必要がある。しかし、シーズン中の2022年1月にはアフリカネーションズカップが開催予定であることが懸念事項だろうか。サラーとマネが離脱することになり、彼らの不在期間をどのように乗り切るかがシーズンのポイントになるかもしれない。このポジションに新たな補強がないとなれば、南野やオリギと言った選手の活躍に期待しなければならない。

1月にはサラーの離脱が想定される

今季の展望 まとめ

 ここまで、各ポジション毎に選手層を見てきた。ここ数年、チームとして高いパフォーマンスを発揮してきたが、その中心を担ってきた選手たちが今年も健在であり、昨年のようなアクシデントが続かなければチームとしての競争力は高いと見える。しかし、マネ、サラー、ケイタの3人が冬の時期に離脱すること、怪我を抱えがちな選手が多いことなどは懸念事項として存在しており、不安要素もゼロではない。夏の間に更なる補強の可能性もあることだろう。
 また、イングランド国内の他のライバルチームの動きも気になるものがある。チェルシー、マンチェスターシティ、マンチェスターユナイテッドの3チームは移籍市場において活発な動きを見せており、チーム力を強化している。3チームとも昨年のチームからの継続路線で、チームを強化しており、強力なライバルとなることが予想される。ハイレベルな争いの中で、リバプールが競争力の高さを見せてくれることを期待してたい。