最後まで崩せなかった青い壁 リバプール-チェルシー振り返り

 現地時間8月28日、アンフィールドでプレミアリーグ第3節リバプールvsチェルシーの試合が行われました。結果は1-1のドロー。前半にコーナーキックからチェルシーが先制し、前半アディショナルタイムにサラーのPKで追いつきました。PKのきっかけとなったプレーで、チェルシーのリース・ジェームスが一発退場。後半はリバプールが数的有利となりましたが、最後までゴールを奪えず、試合は引き分けのまま終了しています。

試合概要

 相手がヨーロッパ王者のチェルシーということで、ビッグマッチにふさわしい盛り上がりを見せるアンフィールド。前半はリバプールがボールを保持し、いくつかチャンスを作る展開。アンフィールドの声援を受けたリバプールは、強敵にも臆せずボールを保持し、ボールを奪われた瞬間のプレスも強烈です。対するチェルシーは、強固な守備をベースにカウンターを狙うサッカーが特徴。カウンターが狙えない時にはボールを保持して攻撃することもできるチームです。

 前半はリバプールがボールを保持し、チャンスをいくつか作るものの、コーナーキックからチェルシーが先制。チェルシー得意の展開だったのではと思います。その後もリバプールが打開を狙い、チェルシーは堅固な守備をベースにルカクを中心としたカウンターを狙う、という展開が続きます。そして前半アディショナルタイム、コーナーキックの乱戦からリース・ジェームスが手で決定機を阻止したとして退場。PKをサラーが決めて同点に追いつきます。

 11人vs10人となった後半は完全に別の試合に。チェルシーは5-3-1でブロックを組み、自陣に引き籠ります。数的不利に陥ったチェルシーとしては、敵地での勝ち点1は御の字。ルカク起点のカウンターに望みは託すものの、守備に徹するという意識はチームで完全に統一されていました。リバプールはボールを保持し、人数をかけて攻撃を試みますが、効果的な攻撃はミドルシュート程度。チェルシーの堅い守備を崩すことができず、ドローという結果になりました。

チェルシーの守備ブロック

 この試合のポイントは何といってもチェルシーの守備の堅さでしょう。モウリーニョが植え付けたチェルシーの印象をトゥヘルは継承しており、いかにもチェルシーという守備ブロックでした。後半開始時点のチェルシーのフォーメーションは以下の通り。中央を3-3のブロックで厚くします。元来、リバプールは引いた相手を中央から崩すのは苦手。サイドバックを起点に、サイドから攻撃しますが、チェルシーのウィングバックがリバプールの両サイドバックに自由を与えてくれません。マルコス・アロンソ、アスピリクエタが時間を稼ぐ間に、CBやインサイドハーフがスライドし、サイドでも自由を得ることができませんでした。

 全選手の意識を統一し、守備に徹することのできるチームを作り上げたトゥヘルはさすがでした。後半のチェルシーの守備ブロックは一切の隙がなく、スライドをサボる選手もいなかったです。また、マネやサラーが独力での突破を試みるも、チェルシー側の対人守備も強力。リュディガー、アスピリクエタ。チアゴ・シウバなど個人の守備能力も非常に高かったです。

守備ブロックの崩しが課題

リバプールとしては、このような試合を勝ち切ることは課題になるでしょう。組織的に堅固な守備を敷いてくるチームとは、プレミアリーグでもCLでも今後戦っていくことが予想されます。リバプールはそのような戦い方を苦手としています。しかし、チェルシーの守備組織は欧州トップレベル。守備ブロックを崩すことにおいては世界トップクラスである、ペップのマンチェスター・シティですら、昨季のトゥヘル就任以降のチェルシーに3連敗しています。

 今季、リバプールは堅固な守備ブロックを敷くチームにどのように立ち向かっていくのか。継続的に結果を残し、タイトルを獲得していくためには乗り越えなけらばいけない壁でしょう。