最終節を終えて 21-22シーズンのプレミアリーグを振り返る

 21-22シーズンのプレミアリーグも最終節を終え、シーズンが終了しました。最後まで激闘を繰り広げたリバプールとマンチェスター・シティの優勝争いはシティが制し、リバプールは2位でシーズンを終えることになりました。

 シティに勝点1差の2位でリーグ戦で終えるのは、18-19シーズンに続いて2度目です。最後は優勝に近づいた時間帯もあっただけに、悔しさも込み上げます。

 今回の記事では、デッドヒートだったシティとの優勝争いの末に涙を飲んだ21-22のプレミアリーグを振り返ります。

強さを取り戻したリバプール

 21-22シーズンのリバプールは、最終的に勝点92を奪いました。優勝したマンチェスター・シティが勝点93を獲得し、惜しくも優勝を逃しましたが、勝点90越えは凄まじい成績です。事実、ラ・リーガ、セリエA、リーグ1などの他国リーグにおける優勝チームの勝点は80台でしたので、プレミアの優勝争いの白熱ぶりがわかります。

 今季のリバプールは、38試合を28勝8分2敗で終えており、シーズンを通してわずか2敗しかしていません(敗れたのはアウェイのウェストハムとレスター)。対するシティは29勝6分3敗。結果的に、引き分けが多かったことが明暗を分けることになりました。

 同じく勝点1差で涙を飲んだ18-19シーズン、悲願のプレミアリーグ初制覇を成し遂げた19-20シーズンと、近年は無類の強さを誇るリバプールですが、昨季の20-21シーズンは決して出来の良いシーズンではありませんでした。シーズン途中に怪我人が続出し、最終節に何とか3位に滑り込んでCL出場権を獲得した、苦しいシーズンでした。

けが人続出のチームを支えたナット・フィリップスとリース・ウィリアムズ

 昨季のチーム状態が良くなかったこともあり、今季最初の段階ではリバプールの下馬評はそれほど高くなかったと思います。昨季のCL決勝を戦ったシティとチェルシーを推す声が非常に大きかったのではないでしょうか。

 そんな中で、今季のリバプールは強さを取り戻しました。昨季の怪我人が復帰すると、従来のインテンシティが高く、破壊力満点のサッカーが復活します。アグレッシブに前に出るが故に、裏のスペースを突かれることもありますが、アリソンを始めとした守備陣が凌ぎ切ると、必ず前線の選手がゴールを奪ってくれました。

勝てなかった強豪との直接対決

 シーズンを通して非常に安定感を見せ、取りこぼしも少なかったリバプールですが、振り返ってみると強豪チームに勝ち切れませんでした。結果的にシティとの勝点1を分けたのは、トップ4のチームに勝ち切れなかったことかもしれません。

 下記は、21-22シーズンのリバプールとマンチェスター・シティ、チェルシー、トッテナムの対戦成績です。

対戦チームスコアホーム&アウェイ
3チェルシー1-1ホーム
7マンチェスター・シティ2-2ホーム
18トッテナム2-2アウェイ
21チェルシー2-2アウェイ
32マンチェスター・シティ2-2アウェイ
36トッテナム1-1ホーム
リバプール 上位チームとの対戦成績

 今季のリバプールは、リーグを最終的にトップ4で終えた、マンチェスター・シティ、チェルシー、トッテナムとのすべての試合で引き分けています。

 直接対決となったシティ戦はホーム/アウェイ共に2-2のドローでした。両試合とも苦しい前半でしたが、後半に盛り返してドローに持ち込みました。ホームにシティを迎えた試合の最終盤には、ファビーニョの決定機をロドリがスーパータックルで阻止したシーンがありましたが、思い返すと非常に重要な局面でした。

ロドリ アンフィールドでのタックル

 また、リバプールはチェルシーとトッテナム相手にも今季は2分という成績でした。ホームで迎えた第3節のチェルシー戦は、前半終了間際にリース・シェームズが退場となり、後半45分を数的有利な状態で進めることになりました。しかし、10人で守るチェルシーの壁が厚く、最後までゴールを割ることができませんでした。

 シーズン途中にアントニオ・コンテが就任したトッテナムも強敵でした。ソリッドな守備ブロックから繰り出されるカウンターは強烈で、非常に苦しめられました。36節のホームでのスパーズ戦に勝ち切れなかったことは、リバプールとしては大きく響きました。

白熱した最終盤の優勝争い

 結果的にシティが一歩のリードを守り切った優勝争いでしたが、年が明けてからの白熱具合は凄まじかったですね。一時期は消化試合数が違ったとは言え、シティとリバプールの間には10ポイント以上の勝点差がありました。

 しかし、年明けからリバプールは怒涛のリーグ戦10連勝で追い上げます。その間にシティのいくつかの取りこぼしもあり、4月の直接対決を前に勝点1差に詰め寄りました。緊迫の直接対決は勝点1を分け合い、その後の星取でも全く同じ結果となったリバプールとシティですが、サポーターとしては1試合も気の抜ける試合がありませんでした。

 両チーム共に、チャンピオンズリーグやFA杯と両立しなければならない厳しい日程の中、リーグ戦でも勝点を落とすことなく勝ち続けたのはさすがでした。

希望の光を見た最終節

 21-22シーズンのリバプールとシティの優勝争いにおいて、最も興奮の瞬間は最終節だったでしょう。同時キックオフとなった最終節は、リバプールはウルブズを、シティはアストン・ヴィラをそれぞれホームに迎えます。リバプールが勝利する場合、シティは勝利が必須となります。

 シティが対戦するアストン・ヴィラを率いるのは、リバプールのレジェンドであるスティーブン・ジェラード、チームには元リバプールのフィリペ・コウチーニョやダニー・イングスが在籍しています。この対戦カードを見ると、何かドラマが起きそうな予感はありましたね。

 アンフィールドで早々にウルブズに先制を許したものの、すぐに同点に追いついたリバプール。そんなアンフィールドにサポーターの歓声が響き渡ります。前半のうちにアストン・ヴィラが先制したことを知らせる歓声でした。

 優勝への希望を抱いてスタートした後半、リバプールは勝利を掴むべく攻勢を強めます。そんな中、再びアンフィールドに大歓声が響き渡りました。エティハド・スタジアムで、元リバプールのコウチーニョがシティ相手にスーパーなゴールを決めていました。シティとしては、自力優勝に残り20分で3点が必要な状況となります。

シティからゴールを奪ったコウチーニョ

 しかし、ここから本当に3点取って逆転してしまったシティは天晴でした。途中から出てきたギュンドアンが2ゴールを奪い、ロドリのミドルも突き刺さってシティが逆転しました。優勝の可能性が見えたリバプールサポーターとしては、非常に残念で悔しい結果でしたが、マンチェスター・シティの逆転劇はさすがでした。リバプールもしっかりとウルブズを降しましたが、逆転優勝とはなりませんでした。

来シーズンへ向けて

 今季は惜しくも2位でリーグ戦を終えたリバプールですが、まだCL決勝という大舞台を残しています。

 思い返せば、同じく勝点1差で涙を飲んだ18-19シーズンもCL決勝に進んでいました。決勝ではトッテナムを降し、ビッグイヤーを掲げています。レアル・マドリーは非常に難しい相手ですが、プレミアリーグの悔しさをこちらで晴らしたいところです。

 そして、ビッグイヤーを掲げた18-19シーズンの翌シーズンは、リバプールはプレミアリーグも制しています。サポーターとしては、クロップの下でもう一度プレミアリーグを取りたい思いは強いです。

 来季に向けては補強の噂も出始めており、チームの強化も行われることでしょう。既に、フルアムからウィリアン・カルバーリョが加入することが決まっています。

 対するマンチェスター・シティも補強を進めています。ドルトムントからアーリング・ハーランドの獲得を発表しており、シティに最後のピースが加わる感があります。

 他にも、2年目を迎えるコンテのトッテナムなどは来季の強敵になり得るでしょう。しかし、黄金期を迎えていると言えるリバプールとクロップには、更なるタイトルを積み重ねてほしいところです。今季の悔しさは必ずや、来季のプレミアリーグで晴らしてもらいましょう。