リバプールの新SD ジュリアン・ウォードとは何者か?

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 リバプールにおいて、スポーティング・ディレクター(SD)という役職は、選手の補強や売却を取り仕切る重要なポジションです。ここ数年のリバプールは、クロップとSDであるマイケル・エドワーズが協力体制を築くことにより、選手の補強や売却を成功させてきました。モハメド・サラー、ファン・ダイク、アリソンと言った選手たちをリバプールに連れてきたのは、エドワーズの功績と言われています。

 しかし、2022年の夏を持ってマイケル・エドワーズとリバプールの契約は満了を迎え、エドワーズはリバプールを去ることが決まっています。エドワーズのリバプールにおける功績は大きなもので、リバプール復活の立役者の一人です。エドワーズの経歴や実績については下記の記事で紹介しています。

 クロップのチームに適切な選手をバーゲットと言える金額で補強し、選手売却時の交渉でも手腕を発揮していたエドワーズの退任は、リバプールにとっては大きな痛手です。

 そんなエドワーズの後任は、エドワーズの右腕を務めていたジュリアン・ウォードという人物になることが発表されています。今回の記事では、今後のリバプールの選手補強や売却の責任者となるジュリアン・ウォードについて、詳しく紹介していきます。

ジュリアン・ウォードの経歴

ここからはリバプールの新SDとなるジュリアン・ウォードの経歴について見ていきます。ジュリアン・ウォードは約9年前にリバプールにやって来ました。リバプールにやって来る以前は、ポルトガル代表やマンチェスター・シティでも仕事をしており、自身も選手としてプレー経験のある人物です。

選手時代~マンチェスター・シティ

 ジュリアン・ウォードは選手としてのキャリアを持つ人物です。ウォードは2003年に、現在はイングランド3部のリーグ1に所属している、モアカム(Morecambe)FCでキャリアをスタートさせています。ポジションはMFだったようです。当時のモアカムはノン・リーグに所属しているチームでした。

 その後はいくつかノン・リーグのチームを渡り歩き、北アイルランドへと活躍の場を移しています。北アイルランドでは、ラーン(Larne)FCというチームで2007年からプレーしています。ラーンFCは、現在は北アイルランドの2部リーグに所属しているチームです。

 2008年に選手としてのキャリアを終えたウォードは、ポルトガルに渡ります。ポルトガルサッカー連盟の下で、分析官やスカウトを担当する仕事に就きます。当時のポルトガル代表監督は、現在のエジプト代表の監督を務めている、カルロス・ケイロスでした。ウォードは彼の下でしばらく仕事をしていたようです。

 そして2010年、ウォードはイングランドに帰還すると、マンチェスター・シティに加入しています。シティでの役割は、南米のスカウトを取りまとめるというものでした。シティで南米のスカウト担当を2年ほど務めた後、リバプールへと移っています。

リバプール移籍後のキャリア

 ジュリアン・ウォードがリバプールに加入したのは、2012年の10月です。当時のリバプールは、ブレンダン・ロジャースが監督に就任し、新たな挑戦を始めた時期でした。

 ウォードのリバプールでの最初の役割は、スペインとポルトガルのスカウトの統括です。ポルトガル代表で仕事をしていた経験もあり、ポルトガル語が達者なことも評価されていたようです。ウォードがスペイン・ポルトガル地域を統括している期間に、リバプールはチアゴ・イロリ、アルベルト・モレノ、ラザル・マルコビッチと言った選手を獲得しています。

 ポルトガル・スペイン地域のスカウト責任者を約3年間務めた後、2015年にウォードは新たな役割に就きます。loan pathways and football partnerships managerと言う肩書の新設された役職で、ローンに出ている選手や買戻し条項のある選手をマネジメントする役割を担いました。

 リバプールのようなビッグクラブだと、ローンで出て行く若手選手の数は非常に多くなります。そんな若手選手たちと頻繁にコミュニケーションを取り合い、選手たちの成長を助けるのが、この時のウォードの役割でした。クロップもこの役割を担っていたジュリアン・ウォードを高く賞賛していました。

 しばらくローンで出ている選手たちのマネジメント役を務めたウォードですが、2020年の冬にアシスタント・スポーティング・ディレクター(Assistant Sporting Director)という役職に昇格します。マイケル・エドワーズの右腕として、選手の補強や売却に関わる役目を担うことになりました。クロップを含めた首脳陣から高く評価されていることが伺えます。

 そして、この昇格からわずか1年あまりで、マイケル・エドワーズの後任としてSD就任が決まっています。エドワーズの退任という出来事を受けての昇格ですが、スピード出世と言えるでしょう。年齢的にも40歳と、ビジネスの世界では非常に若く、リバプール首脳陣からの期待と信頼が見て取れます。

ルイス・ディアス獲得の裏側

 リバプールは2022年の冬の移籍市場で、ポルトからルイス・ディアスを獲得しています。ディアスは加入後、さっそく素晴らしいパフォーマンスを披露していますが、ディアスの獲得はジュリアン・ウォードがリードしたと言われています。

 報道によると、リバプールによるルイス・ディアスの冬の移籍市場での獲得は急遽行われたものだったようです。クロップやエドワーズ、ウォードらのリバプール首脳陣は、ディアスを夏のトップターゲットとしていました。しかし、コンテのスパーズが冬の移籍市場でディアス獲得に向けて動いているとの情報を受け、半年前倒しでディアスを獲得することを決めたようです。

 長期的な戦略を非常に大切にするリバプールですが、その戦略を修正してまでも獲得したのがルイス・ディアスです。スパーズから具体的なオファーがあり、移籍市場の期限も迫る中でのポルトとの交渉は困難なミッションだったことでしょう。

 しかし、ウォードはしっかりと交渉をまとめ、ルイス・ディアスの獲得を実現させています。ルイス・ディアス本人が、リバプール移籍を望んでおり、ポルトの財政状況が厳しかったことも追い風でした。冬の移籍市場における主力選手の引き抜きでしたが、結果的に安価な移籍金で獲得できたのではないでしょうか。加入後のパフォーマンスを見るに、非常に良い補強だったと思います。

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まとめ

 ここまで、リバプールの新たなSDとなるジュリアン・ウォードについて詳しく紹介してきました。偉大な功績を残したSD、マイケル・エドワーズがクラブを去ることはリバプールにとって大きな痛手です。しかし、今回のルイス・ディアス獲得でウォードが見せた手腕は確かなものだったと思います。

 リバプールには、マイケル・エドワーズが作り上げた選手補強や売却にかかるノウハウも蓄積されていることでしょう。エドワーズがリバプールを去った後も、ジュリアン・ウォードが中心となって、これまでのように的確な選手補強でファンを楽しませてほしいものです。