2017年の夏にリバプールに加入して以来、大活躍を見せているモハメド・サラーは今やアンフィールドのアイドルとなっています。しかし、リバプールとサラーの契約は2023年の夏を持って満了を迎え、契約更新はまだ行われていません。
最近の報道を見ていると、リバプールとサラーの契約延長交渉は順調に進んでいないようです。今回の記事では、リバプールとサラーの契約延長について、報道されている状況を整理していきたいと思います。
難航するサラーの契約延長交渉の現状
まずはサラーとリバプールの契約延長交渉の現状について確認します。2023年までとなっている現行のサラーの契約ですが、延長交渉が行われているという報道は2021年の夏ごろからありました。しかし、スムーズに話が進んでいるというものではありませんでした。
2021年の夏以降、リバプールとサラーの代理人による会談は行われていたようですが、進展があったという報道はありませんでした。しかし、2022年の2月になって、信頼できるジャーナリストとして知られているファブリツィオ・ロマーノ氏が次のようなツイートがしています。
ファブリツィオ・ロマーノ氏によると、サラー側はリバプールから12月に受けた契約延長のオファーを断ったとのことです。そして、それ以降はリバプール側とサラー側で交渉は行われていない模様です。サラー本人の意思としては、リバプールに残留したがっていることが強調されているものの、契約延長交渉は上手く行っていないのが現状のようです。
残留意思については、サラー本人もインタビューで語っています。2022年1月に行われたインタビューで、サラーは次のように語っています。
I want to stay, but it’s not in my hands. It’s in their hands.
“They know what I want. I’m not asking for crazy stuff.
サラー本人としてはリバプールに残留したいものの、自分ではどうにもできないということですね。契約延長はクラブ次第であり、何もクレイジーな要求をしているわけではないと発言しています。
2022年の2月には、サラーの契約延長についてユルゲン・クロップも発言しています。記者会見で問われたクロップは、何も問題はないと述べています。クロップは、サラーはまだ契約にサインしたわけではないものの、契約延長自体を拒否しているわけでもなく、急ぐ必要はないとしています。クラブは出来る限りのことをしているとも。
しかし、クロップがこのような発言を記者会見で行った直後に、サラーの代理人であるラミ・アッバス・イッサ氏が投稿したツイートが更なる憶測を呼んでいます。
同氏のこのツイートの真意は不明ですが、タイミングがタイミングだけに、様々な憶測を呼ぶのも仕方ないでしょう。
リバプール側やサラーの代理人による交渉の駆け引きという側面も多分に含まれるため、報道を真に受けることはできませんが、ここまでがサラーとリバプールの契約延長交渉の現状です。契約は2023年の夏まで残されていることから、クロップの言う通り急ぐ必要はなく、まだまだ両者による駆け引きが行われるかもしれません。
サラーとリバプールにある溝
ここまで、リバプールとサラーの契約延長交渉の現状を整理してきましたが、両者が合意に至らない溝はどこにあるのでしょうか。
報道によると、リバプールとしてはサラー側が要求している週給が高すぎると感じており、オファーしている週給の額に大きな溝があるとされています。サラー側は週給40万ポンドを求めているとのことですが、リバプール側のオファー額は週給28万ポンド。リバプールとしては、週給40万ポンドという額は、現在の給与体系を壊しかねないと考えています。
近年の躍進で選手との契約更新を行ってきたリバプールとしては、全体的にサラリーが上昇しています。しかし、サラー側が求めている週給40万ポンドは、リバプールの給与体系を壊し、他の選手との公平性が失われる危険性があるということでしょう。以下に現在のリバプールの主な選手の週給をまとめてみました。
現在のリバプールの選手が受け取っている週給の額を見てみると、40万ポンドがいかに飛びぬけた数字かがわかります。現在トップの週給を受け取るファン・ダイクですら22万ポンドであり、その倍近い数字となります。リバプール側もサラーの価値は理解しており、選手の中でトップとなる28万ポンドをオファーしているとのことですが、溝は深いようです。
では、なぜサラー側は40万ポンドという週給を要求しているのでしょうか。報道によると、マンチェスター・シティのデ・ブライネが週給40万ポンドを受け取っていることから、トッププレイヤーとしての評価として同額を要求しているとのことです。
サラーの選手としての価値をデ・ブライネと比較して考えると、週給40万ポンドという週給は決して高すぎるものではないでしょう。しかし、シティやチェルシーと比較して使えるお金が限られているリバプールとしては、サラーに追随して他のトッププレイヤーからの要望が大きくなることを懸念していると思われます。
チーム内でサラリーの差が大きくなりすぎると、不協和音が起きる原因にもなりかねず、クラブの経営陣としても判断が非常に難しいところでしょう。
Embed from Getty Imagesサラーの過去の契約交渉について
サラーの代理人を務めているのはラミ・アッバス・イッサという人物です。コロンビア生まれの人物でUAEに長く居を構えているそうですが、サラーの代理人としてクラブとの交渉や、弁護士としてのアドバイザーも務めています。
この代理人は非常に腕の立つ人物と考えられます。過去にいくつかの移籍を経験してきたサラーですが、契約を巡ってフィオレンティーナと揉めたことがありました。チェルシーから半年間のローンでフィオレンティーナでプレーしていたサラーですが、チェルシーとフィオレンティーナ間で契約を巡って大きな問題に発展し、最終的にフィオレンティーナが法的手段に出ています。
半年間のローンでフィオレンティーナでプレーしていたサラーですが、その後ローマに移籍しています。しかし、フィオレンティーナとしては、半年間のローンの後もフィオレンティーナに残るという条項がチェルシーとの契約に含まれていた、と主張していました。そのため、サラーの他クラブへの移籍を許さない姿勢を取りましたが、サラー側もフィオレンティーナでプレーすることを拒否します。
最終的にローマに移籍したサラーですが、その後フィオレンティーナはスポーツ裁判所(CAS)に対して訴えを起こしています。この一連の動きを巡って、ラミ・アンバス・イッサ氏の躍動があったことは間違いないでしょう。結果的に、CASはフィオレンティーナの訴えを棄却しており、チェルシーとサラーには問題がなかったということになっています。
Embed from Getty Imagesまとめ
現在、リバプールはモハメド・サラーとの契約延長交渉を行っていますが、合意には至っていません。サラー本人は残留を希望しているものの、サラー側が求める週給とリバプールがオファーしている週給の額に大きな開きがあることが原因です。
リバプールとサラーの代理人であるラミ・アッバス・イッサ氏の間で交渉は今後も行われることでしょう。これまでのサラーのキャリアを支えてきたこの敏腕代理人と合意できるかどうかが問題になりそうです。
サラーとリバプールの現行の契約は2023年までとなっており、契約延長交渉を急ぐ必要はありません。しかし、2023年の夏にサラーをフリーで手放すことを嫌うのであれば、2022年の夏に売却することも経営判断としては考慮しなければいけません。
リバプール加入後は大活躍を続けており、アンフィールドのアイドルとなったモハメド・サラー。リバプールファンとしては、彼が長くアンフィールドで活躍してくれることを期待したいです。