リバプールの冬の補強を展望 クロップは1月に動くのか?

 2021年の夏は静かに過ごしたリバプール。ライバルチームが大型補強を相次いで進める中、イブラヒマ・コナテを獲得するのみに留まりました。1月にはアフリカネーションズカップが開催され、サラー、マネ、ケイタの3選手が離脱することは確定しています。今季はここまで好調なチーム状態を維持してますが、果たして、リバプールは冬の移籍市場でどのような動きを見せるでしょうか。今回の記事では、リバプールの冬の移籍市場での動きを考察したいと思います。

冬の移籍市場展望

 まず最初に結論から述べると、リバプールが冬の移籍市場で積極的な動きを見せる可能性は非常に低いのではないかと考えています。過去の1月の移籍市場での動きを見ても、リバプールは積極的に動いていませんでした。特に、クロップが就任して以降は、一貫したチーム作りを進めたいという意図からか、冬の移籍市場での動きは一部の例外を除いてあまりなかったと思います。また、財政的にも余裕がそれほどあるわけではないリバプールとしては、投資には慎重になりたいところです。今季はチーム状況も良く、成績良好でここまで来ているため、チームに新たに手を加える必要性も高くはないでしょう。唯一の懸念点は、マネ、サラー、ケイタの離脱ですが、シーズン当初からわかっていたことなので、クロップやFSGとしても折り込み済みのことかと考えます。そのため、今季も冬の移籍市場で大きな動きはないと予想されます。ここからは、3つの理由について、詳しく考察します。

①冬の移籍市場では消極的なクロップ

 まず、リバプールは冬の移籍市場では大きな動きを見せないチームです。過去の動きを見ても、冬の移籍市場での獲得は非常に少なかったと思います。近年で言うと、昨年のセンターバックの緊急事態下で獲得したカバクとベン・デイビス、その前のシーズンに獲得した南野がやや例外だったでしょうか。ファン・ダイクがやって来たのも冬の移籍市場でしたが、その時は夏からの動きがあってのことでした。クロップ就任以降で冬のマーケットで動き、獲得したのは南野拓実ぐらいのものでしょうか。

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 リバプールが冬にあまり動かない理由としては2つ考えられると思います。まずは、チームへの適応を考えてのことでしょう。クロップは新加入の選手をチームに組み込む際に非常に慎重になります。夏に獲得し、プレシーズンを過ごした選手でも適応までに時間をかけることが良くあります。ロバートソンやファビーニョ、チアゴ、今季だとコナテもそうでしょうか。そんな適応に時間が必要なチームに、シーズン真っ只中の冬の加入では適応が難しいという判断があるでしょう。

 また、2つ目の理由として冬の獲得だと移籍金が高くなってしまうことも考えられます。選手を売却する側のクラブとしても、シーズン途中に主力が抜けることを嫌います。夏から移籍交渉が続いているということでもない限り、他チームの主力を冬に獲得することは難しいでしょう。もし獲得があるとすれば、下部リーグや主要リーグ以外のチームからでしょうか。主要リーグの既に名の知れた選手と比較して安価になるため、投資面での負担は小さくて済みます。しかし、現時点では具体的な噂はなく、補強の可能性は低いでしょう。

②投資には慎重になりたい財政状態

 次に、財政的な面からも冬の移籍市場では大きな動きをしづらいと考えます。リバプールは夏の移籍市場で大きな動きを見せませんでしたが、その理由の一つとして財政的な問題があります。サッカー界を襲ったコロナウイルスの影響によって収益が減少し、自由に使えるお金がそれほど多くはありません。チェルシーやマンチェスターシティとは異なり、リバプールが使えるお金は、基本的には自分たちで稼いだお金だけです。リバプールのお金の使い方については、夏の移籍市場を考察した下の記事で紹介しています。

 コロナ禍で収入が減少したリバプールとしては、スタジアムに観客が戻り、徐々に財政基盤を取り戻しているとは言え、まだまだ余裕がある状態ではないでしょう。リバプールは元々選手へのボーナスの支払いが多いと言われており、人件費も高くなっている状態です。移籍金が高騰しやすい冬のマーケットで大きな投資ができる可能性は低いのではないでしょうか。

③今季の好調なチーム状況

 そして最後に、今季のこれまでの成績が良いため、新たにチームに手を加えることはしないだろうという点です。多額な投資を必要とする選手補強にFSGは当然慎重になりますし、現場のクロップとしても選手をチームに組み込むまでに時間をかける監督です。成績が良いチーム状況で、新たにチームに手を加えるということは考えづらいでしょう。懸念点としては、アフリカネーションズカップによる主力の離脱でしょうか。

 アフリカネーションズカップの開催期間は、2022年1月9日から2月6日にかけての1か月間となります。決勝が行われるのが2月6日ですので、エジプト、セネガル、ギニアの成績次第ではマネ、サラー、ケイタがリバプールに帰還するのは2月6日以降ということになります。この期間をリバプールはどのように乗り切ろうとしているかは注目でしょう。この期間にリバプールが戦う試合は下記の通りとなります。

 サラー、マネ、ケイタの3選手が欠場する試合は、現時点でのスケジュールだと最大でカップ戦3試合とリーグ戦2試合となりそうです。リーグ戦の欠場が最大2試合で済みそうというのはクラブとしては大きいですね。

 上記の通り、アフリカネーションズカップによる主力3選手の離脱は、公式戦5試合で、そのうちリーグ戦では2試合のため、代替選手の補強は考えづらいだろうと思います。主力3選手の離脱は確かにチームとしては大きな痛手ですが、クロップやフロント陣は、現状のメンバーでカバーが可能と考えているのでしょう。また、アフリカネーションズカップによるマネ、サラー、ケイタの離脱に備えて選手の補強を行うのであれば、夏により積極的な動きをしていたと思います。

まとめ

 ここまで述べてきたように、リバプールが今冬の移籍市場で動きを見せる可能性は低いと考えます。そもそもシーズン途中に新たに選手を適応させることは難しく、主力選手の引き抜きということであれば移籍金も高騰してしまいます。その上、今季はここまで成績は悪くない状態ですので、突然移籍話がまとまるということはないでしょう。

 もし仮に移籍の話があるとすれば、夏から続いていた交渉がまとまったという場合か、移籍金のかからない若手の獲得といったところでしょうか。アフリカネーションズカップによる主力の離脱の影響も最小限に留められそうなところですし、それによるマーケットでの動きもなさそうです。

 例年、クロップのチームは1月を苦手としています。特に今季は、主力であるサラー、マネ、ケイタの3選手が離脱するという事態です。リーグ戦の優勝争いに残り続けるためにも、何とか現在のメンバーで1月を乗り切って欲しいところです。