21-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ、ベスト16の試合においてリバプールとインテルが激突しました。インテルのホーム、ジュゼッペ・メアッツァで行われた1stレグは0-2でアウェイのリバプールが勝利。アンフィールドで開催さた2ndレグは、0-1でインテル勝利という結果になりました。2戦合計2-1でリバプールがベスト8に駒を進めています。
プレミアリーグでマンチェスターシティと激しい優勝争いを繰り広げるリバプールと、セリエAでスクデットを争うインテルの対戦は、2戦共に非常に見応えのある試合でした。今回の記事では、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦、リバプールvsインテルの試合を振り返ります。
1stレグの振り返り
両チームのメンバー
リバプールvsインテルの試合の1stレグは、2022年2月16日にインテルのホーム、ジュゼッペ・メアッツァで行われました。このゲームは、リバプールがフィルミーノとサラーのゴールによって、2-0で勝利しています。1stレグのスターティングメンバーは以下の通りでした。
この試合、リバプールは4-3-3、インテルは3-5-2の布陣で試合に臨みました。お互いに国内リーグでは強さを発揮しているお馴染みの布陣です。
リバプールは久々にフルメンバーが揃った試合となりました。近年のリバプールは負傷者に悩まされ続けており、怪我人のいないフルスカッドはいつぶりだったでしょうか。そんな中でクロップは、スタメンにコナテとエリオットを送り出しました。
センターバックの3番手として、出場時は確かなパフォーマンスを発揮しているコナテは、グループリーグでミランと同じスタジアムで対戦した際にはイブラヒモビッチを完封しています。また、今季の序盤に出番を増やしたものの、重傷を負って長く離脱していたエリオットもスタメン出場となりました。若いエリオットにとって、これがCLデビューとなっています。
一方のインテルのスタメンは、大方の予想通りだったでしょう。センターバックに入ったバストーニは、負傷の影響で出場が危ぶまれていましたが、スタメン出場しています。ビダルが入ったインサイドハーフでは、今季のインテルではチームの核になっているニコラ・バレッラが出場停止でした。グループリーグ最終節のレアル・マドリー戦で退場処分となっており、リバプール戦の2試合は欠場となっています。
リバプールを苦しめたインテルの積極性
この試合では、試合を通してインテルが非常に積極的なプレーを見せました。シモーネ・インザーギ監督の率いるインテルは、セリエAやチャンピオンズリーグのグループリーグでもボール保持をベースにハイプレスを組み合わせた攻撃的なサッカーを展開しています。
リバプール相手の試合でも、ホームということもあって非常に勇敢に立ち向かいます。リバプールのビルドアップに対しては激しく前線からプレスをかけます。ビルドアップ能力の高いリバプールのディフェンスラインと中盤の選手たちですが、この激しいプレスには苦しめられていました。
また、インテルがボールを保持する展開になっても、丁寧なビルドアップを行います。リバプールは前線から激しいプレスを仕掛けますが、3バックとブロゾビッチを中心としたパス回しで捕まりません。後方でのビルドアップで相手を前がかりにし、空いた背後のスペースを突く攻撃はインテルの真骨頂です。高い位置を取るウィングバックと2トップを中心に、高いラインを設定するリバプールのディフェンス陣を苦しめていました。
勝負を分けた選手層と個の力
試合内容では互角、もしくは後半の立ち上がりなどはインテルが優勢の時間もあったかと思います。しかし、そんな試合の勝敗を分けたのは選手層と局所における個の力だったでしょうか。
前述の通り、1stレグの時点でリバプールに怪我人はおらず、フルスカッドで起用可能な状態でした。そのため、後半頭からフィルミーノを使うと、苦しいタイミングでケイタ、ディアス、ヘンダーソンを一気に投入することができました。全員が主力級の選手で、インテルに寄った流れを取り戻すには十分なメンバーです。
また、この試合で際立ったパフォーマンスを披露したのが、ファン・ダイクとコナテのセンターバックコンビでした。インテルの巧みな攻撃によって、リバプールのディフェンスラインは再三脅威に晒されましたが、広大なスペースの中でも守り抜きました。2人とも地上・空中ともに対人に強く、スピードもあって、パス出しもできるセンターバックです。この試合の守備は非常に困難なものでしたが、クリーンシートを達成しています。
Embed from Getty Images2ndレグの振り返り
続いて、2022年3月8日に行われたアンフィールドでの2ndレグを振り返ります。リバプールホームで行われたゲームですが、1stレグに続いてインテルが非常に積極的な姿勢を見せ、非常に見応えのある試合となりました。以下が2ndレグの両チームのスターティングイレブンです。
1stレグとの変更点としては、リバプールはエリオットに変えてカーティス・ジョーンズ、コナテに変えてマティプを起用しました。一方のインテルは、1stレグからはジェコに変えてアレクシス・サンチェスを起用しました。
アンフィールドでも前に出るインテル
アンフィールドでの2ndレグ、前に出たのはインテルでした。1stレグ同様に前線から積極的にプレスを仕掛け、リバプールのビルドアップを阻害します。ジェコよりも機動力があり、プレスを仕掛けられるサンチェスの起用もハマっていました。一度リバプールがポゼッションを確保すると、チームは5-3-2のブロックを構築してスペースを消しますが、サンチェスとラウタロ・マルティネスの2人は精力的にボールを追い続けていました。
また、ビルドアップの局面においても、リバプールのハイプレスを恐れません。ハンダノビッチから丁寧にボールを繋ぎ、リバプールの選手を前につり出すと、空いた背後のスペースを効果的に狙います。この辺りのビルドアップと疑似カウンターはインザーギ・インテルの特徴になっています。
アンフィールドでリバプール相手にハイプレスとポゼッションでこれだけの戦いを演じたインテルは非常に良いチームでした。
Embed from Getty Imagesサンチェス退場でリバプール勝勢に
インテルがリバプールを苦しめていたものの、前半から決定機を迎えていたのはリバプールでした。マティプのヘディングがバーを直撃し、サラーのシュートもポストに阻まれていました。しかし、勇敢に戦うインテルも何度となくチャンスを迎えますが、リバプール守備陣がさすがの対応を見せていました。
そんな中でラウタロ・マルティネスがインテルに先制ゴールをもたらします。ファン・ダイクが前にいる状態でしたが右足を振りぬき、アウト回転のかかったボールはアリソンから離れていきました。素晴らしいゴラッソでした。
試合の流れ的にもインテルが圧を強めている時間帯でしたが、得点直後にアレクシス・サンチェスに2枚目のイエローカードが提示され、退場となりました。数的不利になったインテルは非常に難しい戦いを強いられ、その後は同点ゴールを奪えませんでした。
リバプールとしては、あの時間帯でのサンチェスの退場は幸運でした。2ndレグはアンフィールドでのゲームを落としましたが、2戦合計2-1で勝ち抜けに成功しています。
Embed from Getty Imagesまとめ
21-22シーズンのチャンピオンズリーグ決勝トーナメントの初戦、リバプールvsインテルは今季の国内リーグで好調を維持するチームらしく、非常に見応えのあるものになりました。チームとして久々の決勝トーナメントの舞台となったインテルですが、近年の成熟を見せるクロップ・リバプール相手に奮戦しました。今季、リバプールがアンフィールドで敗れるのは初のことです。
2戦合計2-1でベスト8進出を決めたリバプールですが、次はまた厳しい相手との対戦になることでしょう。今季のリバプールは試合内容も非常に充実しており、4冠の可能性を残しています。まだまだ先へと進んでほしいものです。