CL開幕戦で対戦 ACミランをレポート

 いよいよ開幕を迎える21-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)。リバプールはグループBに所属し、アトレティコ・マドリー、ポルト、ACミランと同居。死の組と呼ばれるような、厳しい組み合わせとなりました。今回はリバプールの初戦の相手である、ACミランについて、セリエA第2節カリアリ戦を参考に考察していきたいと思います。

昨季リーグ2位のミラン 今季も連勝スタート

 セリエAはプレミアリーグより1週遅れて開幕。現在、2節まで消化しています。そして、ミランは現在2連勝中。サンプドリアに1-0、カリアリに4-1で勝利しています。第2節のカリアリ戦からは、非常にアグレッシブで攻撃的なチームという印象を受けました。カリアリ戦のミランのメンバーは以下の通りです。

 現在のミランは、若手を中心としつつ、ベテランが要所を固めるバランスの取れたチームです。カリアリ戦のスタメンでは、ジルーとケアーが30歳を超えていますが、トモリ、テオ・エルナンデス、トナーリ、サーレマーカース、ブラヒム・ディアス、レオンの6選手は24歳以下。若手が中心となって復活を目指す強豪という意味では、クロップが来た直後のリバプールと重なる部分があります。2000年代は欧州トップクラスの力を持っていたミランですが、2010年代に入ってからはピッチの中外で苦しみました。リーグ戦ではCL圏外が続き、オーナーを巡るピッチ外のゴタゴタも注目を集めました。しかし、若手を中心に据えたチーム作りにイブラヒモビッチの帰還というトリガーもあり、昨季はセリエAを2位で終え、久々のCL出場権を獲得しました。

若手が多く、攻撃的なサッカーを展開

 そんな若手が躍動するミランは、非常に積極的で勢いのある攻撃的なサッカーを展開しています。先のカリアリ戦では、前半終了時点で4-1。試合の趨勢を決めてしまいました。ベースは強力なカウンターアタックを武器とするチームです。自陣からのビルドアップは試みるものの、相手のプレスが厳しくなれば前線へのロングボールを躊躇しません。前線にはジルーが待ち構えており、ボールが収まります。攻撃のスイッチが入った瞬間に前がかりになるのがこのチームの特徴。両サイドバックが同時に攻撃参加し、さらにはダブルボランチの一角であるトナーリまで前線に顔を出します。そして、2列目の3選手は非常に高い個の力を備えています。推進力があり個人での突破が利くレオン、テクニックで違いを生み出すブラヒム・ディアス、攻撃の流動性を効果的に高めるサーレマーカースにジルーが絡む攻撃は強力です。

 カリアリ戦では相手を押し込む時間が長く、ボールを失ってもすぐにプレスをかけることでボールを回収し、うまく攻撃を続けていました。プレスが上手くハマらず、カウンターを受けそうな時には全力で帰陣するテオ・エルナンデスとカラブリアの両SB。相手にボールを持たれた際には自陣に素早くブロックを築き、カウンターを狙います。自陣での守備には右のサーレマーカースは積極的に参加、ジルー、ブラヒム・ディアス、レオンの3人は攻撃に備えている節がありました。

 前半に4ゴールを奪ったミランは、後半の試合運びも落ち着いていました。後半は相手にポゼッションの時間を与えつつも、堅実な守備ブロックでゴールを閉ざし、カウンターを繰り出します。追加点こそ生まれませんでしたが、非常に上手い試合運びでゲームをクローズさせていました。

積極的な補強で選手層を強化

 今季のミランも非常に力のあるチームです。ポット4の中からミランを引き当てたリバプールのくじ運は悪かったと言えるでしょう。昨季は活躍を見せたアンテ・レビッチ、ロマニョーリ、カスティジェホ、ベナセルといった選手もカリアリ戦ではベンチに控えていました。そして、スタンドにはフランク・ケシエとズラタン・イブラヒモビッチの姿もありました。代表ウィーク明けの週末には怪我から復帰する可能性があるようです。

 また、ミランは久々のCLに備えて積極的な補強を展開しました。カリアリ戦で活躍を見せた、ジルー、トモリ、メニャンといった選手も今夏加入した選手です。ミランの今夏の補強は以下の表の通りです。 フロレンツィ、ジルーといった実績のある選手から、トモリやペッレグリのような有望な若手までをバランスよく獲得しています。

代表ウィーク明けのリーグ戦、ミランはラツィオと対戦します。ラツィオも今夏に新監督としてサッリを迎え、セリエAで開幕2連勝スタートを飾っている注目のチーム。その後のミッドウィークにはアンフィールドでのリバプール戦です。ミランにとっては今季の試金石ともなる2試合。一方のリバプールは、週末にリーズとのリーグ戦を戦い、ミランとのCLに臨みます。今季のCLも非常に楽しみです。