リバプールがカラバオ・カップを制覇 チェルシーとの決勝戦と道のりを振り返る 

 21-22シーズンのイングランドのリーグカップ決勝戦が、聖地ウェンブリーで行われました。イングランドの2つある国内カップ戦のうちの一つです。対戦カードはリバプールvsチェルシーとなっています。タイトルを争うにふさわしい戦いとなった決勝戦は、0-0で120分を終え、PK戦は11-10でリバプールが勝利。今季のリーグカップタイトルを獲得しています。

 今回の記事では、リバプールvsチェルシーのカラバオ・カップ決勝と今季のカラバオ・カップを振り返ります。

リバプール 決勝戦までの道のり

 まずはリバプールの決勝戦までの道のりを振り返ります。リーグ戦やチャンピオンズリーグと並行して行われるため、リバプールは主力を温存するゲームが多くなりました。そんな中、普段はサブとなることの多い選手や、若手の活躍もあり、決勝戦まで勝ち上がってきています。これまでの対戦相手と結果は下記の通りです。

リバプール カラバオ・カップの結果

 リバプールは3回戦でノリッチ、4回戦でプレストン、準々決勝でレスター、準決勝ではアーセナルを下し、決勝進出を決めています。準々決勝のレスター戦までは、主力メンバーを温存しながらの戦いとなったリバプール。そんな中でチームの勝利に貢献してきた選手の一人が南野拓実でした。

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 南野は今季のリーグカップで4ゴールを決めています。ノリッチ戦で2ゴール、プレストン戦で1ゴールを決めると、レスター戦ではアディショナルタイムにチームを救うゴールを決めています。南野のゴールによって土壇場で同点としたリバプールが、PK戦でレスターを下しています。

 今季より準決勝ではホーム&アウェイの2試合制が復活し、日程的にも余裕のあったアーセナル戦では主力を投入して勝ち切ったリバプールですが、南野の他にも様々な選手が活躍した大会でした。2ndゴールキーパーを務めるケレハーをはじめ、若手のモートンやゴードン、更にはツィミカスやオリギと言った選手も確かなパフォーマンスを披露してきました。

チェルシー 決勝戦までの道のり

 対するチェルシーは、以下のような成績で決勝戦まで勝ち上がってきました。

チェルシー カラバオ・カップの成績

 チェルシーは対戦相手が全てプレミアリーグのチームとなっており、厳しい戦いを強いられてきました。3回戦のアストン・ヴィラ、4回戦のサウサンプトンにはPK戦の末に勝利しています。

 チェルシーもリーグカップではメンバーの入れ替えを行って戦っていたはずですが、元々の選手層が非常に厚く、主力級の選手が多く出場していました。シーズンが進んで怪我人が増え、4回戦のブレントフォード戦では若手も出場していましたが、しっかりと勝利しています。プレミアリーグではメンディがゴールキーパーを務めていますが、リーグカップでは準決勝まではケパがゴールマウスを守ってきました。

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リバプールvsチェルシーの決勝戦

 ここからはウェンブリーで行われた決勝戦を振り返ります。両チームのスターティングメンバーは以下の通りでした。

チェルシーvsリバプール スターティングイレブン

 両チームとも、現在のフルメンバーを投入してきたのではないでしょうか。注目のゴールキーパーは、リバプールはケレハー、チェルシーはメンディという選択になりました。また、チアゴ・アルカンタラは先発に名を連ねていたものの、ウォーミングアップ中に負傷し、ナビ・ケイタと変わっています。

 前半の立ち上がり、積極的にゲームに入ったのはチェルシーでした。前線からの激しいプレスでリバプールのビルドアップにプレッシャーを与えます。そして、入ってくる縦パスを徹底的に狙って潰すことで、リバプールに前進を許しません。この辺りのチェルシーディフェンス陣の対人守備能力は非常に高かったです。

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 その後、徐々にリバプールがボールを握り始めると、チェルシーはブロック守備へと切り替えます。ブロック守備において、パスコースの消し方が非常にうまいのがトゥヘル・チェルシーの特徴でしょう。リバプールの選手が後方でボールを保持した際、前にパスコースがなくて困っているシーンが何度もありました。

 試合の大きな流れとしては、ボール保持からゲーゲンプレスを行うリバプールvsブロックからロングカウンターを狙うチェルシーという構図でした。それぞれの戦い方でお互いに何度か決定機を創出していましたが、ゴールキーパーの活躍がゴールを許しませんでした。ケレハー、メンディ共に何度もビッグセーブがありました。

試合は延長・PK戦へ

 互いにオフサイドでゴールが取り消しになるシーンがありましたが、試合はスコアレスで90分を終えました。リバプールの戦略的なハイラインは、何度もチェルシーのアタッカーをオフサイドの罠にはめていました。見ている方からするとドキドキしてしまいます。

 延長では互いにリスクを冒さなかったリバプールとチェルシー。両者ともにPK戦への準備をしているような延長戦でした。チェルシーベンチではケパが準備をしており、PK戦の直前にメンディに代わって投入されています。

 120分の内容と同様に、見応えのある展開となったPK戦。両チームの全フィールドプレーヤー20人が成功し、ゴールキーパー同士の対決までもつれます。ケパ、ケレハー共にシュートストップは非常に優秀なキーパーですが、この試合のキッカーのPK技術は高かったです。

 最後のキーパー対決では、先にケレハーがゴールを決め、ケパが大きく枠を外したことで、リバプールの勝利が決まりました。21-22シーズンのカラバオ・カップはリバプールが制しています。

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まとめ

 カラバオ・カップを制したリバプールは、今季最初のタイトル獲得となりました。国内リーグカップ制覇は10年ぶりで、前回はケニー・ダルグリッシュが監督を務めていた時期になります。

 今季のリバプールは、残る3つのコンペティションでも優勝を争える位置につけています。プレミアリーグではシティを追いかける2位につけており、FAカップとチャンピオンズリーグも勝ち上がっています。

 今季はチームの調子も非常に良く、その他のタイトル獲得にも期待が膨らみます。